台風、耐風
童話「3匹の子ブタ」では、ワラで作られた長男の家、木で作られた次男の家はオオカミの起こす風で吹き飛ばされてしまいます
一方で三男の建てたレンガの家は風ごときではびくともしない
子供の頃、特に台風の夜にはレンガで作られた家が心底羨ましく思えたものですが、
残念ながら地震の多い日本ではレンガを積み重ねて空間をつくる純然たるレンガ造の家は見たことがない
ですが、木造の(異様に劣化したものを除いて)建築物が風で倒壊した、という話も聞いたことがないのは、
地震と同じように台風などの大風に対しても安全であるように構造設計がなされているからです
建築物に必要な壁量を導き出す「壁量計算」では、
地震力と風圧力(=風によって建築物に加わる力)、それぞれに対して安全性が確保できる壁量を求めます
風圧力に対する計算のかなり端折った説明をすると、
建物のそれぞれの方向の見付面積(各正面から見た際の投影面積)のうち、
床面から1.35mまでの部分を除いた面積=写真緑色部分に、
諸条件から定められる係数を乗じることで得られた必要壁長さよりその面を支える方向の耐力壁の合計長さが長くなるよう
設計をします
また、普段は鉛直方向の力しか受けない梁などの横架材にも、強風時には水平方向の力がかかるため
特に建物外周部に配される横架材は、部材の水平方向のたわみも小さくなるよう断面寸法を設定します
風による水平力で建物そのものに致命的な損傷が生じることはないでしょうが、
部材が変形することで外装材に及ぼす影響は少なくありません
これに関しては所長が特に目を光らせているので、弊社の設計する建物はあらゆる意味で風にも強い、はず
さて、3連休は台風一過の気持ちいい天候になることを祈りながら、
その前に、台風到来のワクワク感から愚かにも自転車出勤した僕が無事帰宅できることを願っています