個室
住宅を新築するタイミングは色々あると思いますが、
経験上、ご夫婦でこれから子育てを始めるタイミング、
というパターンが多い様に感じます。
ローンの返済期間等を考えても、その世代が多いのかもしれません。
そんな時に設計を始めますから、その年齢に合わせた使い方、
現在の趣味趣向を詰め込み、デザインもわりと若々しいものを好み、
そして、将来の子供の数を想定して、個室を計画します。
40数年前の学園町の家も、そうして設計が進んだはずです。
ですが、長い時間を掛けて徐々に、家族構成は変わりました。
当初、個室として、いくつかの部屋に仕切られた2階は、
お子さん達が巣立つにつれ、使いづらさが現れてきました。
そこで、いくつも必要のない個室は、間仕切りを無くして大きな部屋へと改修しました。
簡単な防音工事も施して、これからは音楽鑑賞をご趣味とされるクライアントの
趣味の部屋として使われます。
子育てを始めて、その子達が自分の個室を使うのは10年も無いかもしれません。
かと言って、それはそれで必要な時期があるわけで、計画しないわけにはいきませんが、
将来、いつか使い方を変えたい時が来るはずです。
リノベーションで、それを解決する事ができます。
そして、使い道のない余った部屋を、物置部屋にするのではなく、
新たな役割を与える事で、建物への愛着もまた改めて
湧いてくるのかな、と感じました。