シンプル
いかにも何かに悩んでいる風な大工さん。
この部分は、引き戸が壁の中に納まるところなので、
きっとその壁の厚みとか位置とか、いやわかりませんけど、
とりあえず何かに悩んでいるのでしょう。
こういうちょっとだけ手の込んだ仕組みを作りたがるのが、
僕ら設計事務所の性分であり、同時に、作り手からは
少し煙たがられる所以なのだと自覚しています。
でもいいんです。結果的にカッコよくなれば。
昨今は、同じ「シンプル」という言葉を使っていても
「何もしないこと」をそう呼ぶ風潮がある気がして。
ごちゃごちゃやらない、これが素材の味です。みたいな。
デザインしない事をシンプルと呼ぶのはどうかと思っています。
作業工程をシンプルにするのではなく、
手間をかけてシンプルなデザインに見せる。
それが本来。
建築雑誌をチラ見する度に思う、愚痴でした。